木材の圧電効果のしくみ

木材の圧電効果はどのようなしくみで起こるのでしょうか?

木の主成分の一つであるセルロースは結晶を作り、木材中では繊維軸方向にセルロース結晶がほぼ一様に並んでいます。そこへ、樹木の幹の上下方向に並ぶセルロース繊維を、長さ方向にたがいにすべらせるようにせん断の力を加えると、力の面と直角方向に電気分極が起こる順です。

こうした木材の圧電現象からは、生物体としての木の成長、組織構造、材質の特性を知るうえでも、多くの情報を得ることができたそうです。

しかし、木材自体の圧電率の大きさは、残念ながらあまり大きくないとのことで、現在、工業用圧電素子として利用するために、圧電率を大きくすることが研究されていますが、それは、木の中のセルロースを電気的に特性を持つ誘導体に作り換える、というものだそうです。

これまでの研究では、たとえばセルロースの誘導体に、シアノエチル基という物質を導入した新規物質は、現在、圧電素子として工業的に使用されているポリフッ化ビニリデンと同程度の圧電率を持つことがわかっているとのことです。

これは、天然のセルロースから生まれた誘導体で、生分解性もあり、環境にもやさしい材料といえますね。力士電気変換を利用したマイクロホン、スピーカー、超音波診断等の圧電ポリマーとして、今後の実用化が期待されているんだそうです。