株式市場へ上場する会社とは
一般投資家が、世の中のすべての会社の株式を売買できるわけではありません。
売買できるのは、証券取引所に上場、あるいは日本証券業協会が管理している店頭市場に上場している会社の株式に限られます。上場している会社を上場会社、上場していない会社を非上場会社と呼びます。
企業が上場するにはそれぞれの市場の厳しい上場審査をパスすることが必要です。
例えば、東京証券取引所には市場一部、市場二部、新興企業を対象とするマザーズがありますが、それぞれ審査の基準は異なり、市場一部の審査がもっとも厳しくなっています。東京証券取引所に上場する基準(マザーズを除く)をみてみると、上場株式数が4000単位(額面50円株券に換算すると400万株)以上、市場一部に直接上場するためには10万単位(額面50円株券に換算すると1億株)以上必要です。
また、株式の売買が活発に行われるように株主数や大株主の持ち株比率(大株主上位10名などの持株比率)、純資産の額など細かく決められています。
しかし、この審査をパスし、株式を上場すると、企業には以下のようなメリットがあります。
①証券市場で株式や転換社債を発行して、多くの投資家から資金を調達することができます(直接金融)。
②厳しい上場審査をクリアした会社ということで、会社の知名度・信用力が高まります。
③社会的に広く認知されたということで、役員・社員の志気が向上し、優秀な人材も獲得しやすくなります。
一方、デメリットもあります。
①投資家に正しい自社の企業情報を提供する必要があり、会計情報、会社の業績などを、公開しなければなりません。
②どんな投資家が株主になるかわかりません。時には会社に悪意をもった投資家が株を取得し、株主の権利を行使する場合もあります。
そこで、上場のメリットとデメリットを考慮して、有名な会社でも上場していない会社(竹中工務店、サントリー、出光興産やマスコミ関係の会社など)があります。
日本には100万社以上の株式会社がありますが、東京証券取引所市場一部に上場している会社は1500社余り、全国の証券取引所や店頭市場を含めても株式を公開している会社は4000社に満たないのです。